「我が家の看取り」~保護犬ふくちゃんとのお別れ〜
出会い・・・
2002年4月たまたま出かけた平塚で駐車場の花壇の中でうろうろしていた小さい犬。眼は白内障で真白、お腹に頭と同じくらいの大きさになった乳腺腫瘍がぶら下がっている。
「いったいどうしたの??」
みかん動物病院で検査した結果、かなり心臓も悪い。
警察や保護センターへの届け出後、飼い主さんのお迎えを待つ。
しかしながら飼い主は現れず・・
迷い・・
状況から安楽死の選択もあり、いろいろなことを迷い、悩み、この子にとって最善の方法はなにか考える日々。
心疾患によるリスクは低くない、むしろ高い。でもQOL(生活の質)は??
この子の残りの生活をいかに苦痛を少なく平和に過ごせるか・・を優先に考える。
決断・・
乳腺腫瘍除去手術を選びました。生か死か・・
まだ小学生だった娘たちの願い。
「もし手術が成功したら家に連れて帰りたい。」
その真剣な気持ちに触れ、もし手術に耐え生還したら引き取ろう!
我が家へ・・
介護生活へ・・
ふくちゃんは目が見えない。かなり食べ物の好き嫌いが激しい。
トイレの場所はわからない。ベットに自力では入れない。
夜中に急にうろうろ歩く。鳴き始める。抱っこすると泣きやむ・・
そんな状況でしたが、なぜか幸せ・・これがふくちゃん!
①ごはんは口元へ持っていく。
②しっぽの部分に穴を開けた赤ちゃん用おむつの装着をする。
③寝るときは毛布の上やベットの上に乗せる→夜は添い寝。
④床にある障害物はすぐ片付ける。
娘たちと・・
家族になって・・「絆」
出会いから2年あまり。我が家に来て1年10カ月。
単純に考えると短い。でもなんてその内容の濃かったことか。
家の中でも一緒。旅行も一緒。その小さな命を守るために家族は
一致団結し、絆はどんどん強くなった。
看取り・・そして迎えた最期の朝。
ふくちゃん(推定15歳)は早朝から発作を繰り返す。
全身で呼吸。口を開け苦しそうに呼吸する。
「とうとうその時がきてしまったか・・」
家で看取ろう・・と決めていた。しかし・・
病院に連れていこうか・・でも病院に駆けつけても・・
数時間延命ができても苦痛を長引かせるだけ・・迷う。
決意・・
「ふくちゃんをみんなで天国に見送るよ。」
なにがなんだかわからない表情の娘たちをリビングのソファに坐らせる。
家族全員で行う最後の仕事。それは想像以上に辛い時間。
ふくちゃんを順番に腕に抱き声をかける。
「ふくちゃん!ふくちゃん!」
その激しかった呼吸がやがて途切れ途切れになっていく。
見守ることに必死だった。
そして止まる・・・全員なにか呆然としていた。
「死んじゃった・・」
涙があふれてくる。
「本当に死んじゃったの?」
5歳の娘がいつもと同じように添い寝する。
苦しい。心が締め付けられる。痛い。涙が止まらず。
お葬式・・
みんなでお花を飾り、感謝の手紙、ササミやウインナー、来ていたニット、お気に入りのタオルケットを一緒に添える。
近所の友人が集まりふくちゃんに声をかける。
2日間ゆっくり自宅でお別れをし、火葬場へ。
きれいな祭壇。お祈りをする。
お別れの手紙に・・
「うちに来てくれてありがとう。楽しかったよ。」
「年をとったから死んだんだよね?」
「死ぬ時そばにいたから大丈夫だった?」
「生きてるときは本当に楽しかったね。」
「天国でまたいつか会いましょう。」
子供たちの素直な気持ちが表れている。
ペットロス・・
本当に死んでしまったのか。
幸せだったのかな。もっと世話ができたのではないか。
最期にやっぱり病院に行けば良かったのかも。
最期の苦しそうな姿が忘れられない。
いろいろな思いが込み上げて涙が流れる。
寂しい。子供たちのがんばっている姿を見てやはり涙。
時の流れ・・
アルバムを作る。子供たちとふくちゃんの話をする。思い出しては我慢せず泣く。
気がつくとふくちゃんはそばにいる! 形は変わった。でも変わらない存在感。
「なんだ。一緒にいる!」
「一生懸命生きることを教えてくれたふくちゃんを忘れない。」現在もまだ写真とともに出窓にある遺骨。時々話しかけながら時間が流れる。
新しい出会い・・
保護された子犬、ミニチュアピンシャー?トイマン?推定4か月を紹介される。
お試しホームステイから早4年あまりの日々が過ぎている。名前はスウィング。
現在は先住犬コーギーのリズム9歳、スウィング4歳、猫のフラット3歳と共に
にぎやかに暮らしている。