獣医師・動物医療 グリーフ ケア アドバイサー 阿部美奈子先生のペットロス・ペットライフ・サポート




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Griefとは…
グリーフは人だけではなくペットにも自然に現れる心と体の反応なのです。
グリーフケアでペットも人も「心の安全」に導いていきます。


良い看取りとグリーフケア

愛するペットと様々な形で向き合っているご家族の方々のご紹介です。

我がコへ、どんな場面でも笑顔を向けて暮らすことで起こる変化

Oさん あくびちゃん m.ダックス 女の子 19歳

Oさんに初めてA動物病院で出会ったのは2年前。
あくびちゃんの視力が低下し、年齢とともに肝臓など機能低下が認められ始めたころでした。
Oさんにとってあくびちゃんは、我がコというより良きパートナー的存在のように感じました。
ご友人からの食事のお誘いも、あくびちゃんのことが気になり苦痛になることもありました。
周囲の感じ方との温度差もあるでしょう。
気づかないうちにさまざまなことでストレスが重なります。

その頃、Oさんは診察で検査結果など、状態の説明を受けるたびに、
あくびちゃんとの別れが近いのではないか・・・
どのように最期がくるのだろうか・・・
不安と恐怖でいっぱい。
どんなにか苦しい毎日だったでしょう。



そんなOさんの心情が一番伝わり、理由がわからず戸惑っていたのは、
あくびちゃんかもしれません。

Oさんの抱えるお気持ちを思い切り吐き出していただき、その心情をお聴きしながら、
あくびちゃんとの大切な時間をどのように過ごしていくか、一緒に考えました。

あれから現在に至るまで、あくびちゃんが喜ぶこと、
望んでいると思うことを実践していただいています。
Oさんとあくびちゃんの日常を、どんな場面でもなにより笑顔が一番の目標。



あくびちゃんは驚くほどに回復し、美味しい食事を楽しみ、目が不自由ながら自力で歩き、
トイレの失敗もなく、あくびちゃんにとって実の孫プリンちゃん11歳、
Oさんの小学生のお孫さんと交流しながら気持ちよく寿命を生きています。

いつお別れのときが来るかはわかりません。

でも毎日を、あくびちゃんが大好きなOさんの明るい声と笑顔を感じながら
まっすぐ生き抜けるようグリーフケアとともに応援していきます。

最後のお別れの前に起こった奇跡

Iさん ポヨタン 猫mix 女の子 8歳 

Iさん(ご主人)は7年前、家に帰る道で2匹の猫ちゃんに出会いました。
若い母猫と仔猫(推定2か月)がお腹を空かせていた様子に、
その場を通りすぎることができませんでした。
迷いましたがお家に連れて帰りました。

母猫はポヨタン、仔猫はチャッピーと名付けられ、2匹は寄り添いながら
今日まで広い家の中で自由をエンジョイ、とても幸せに暮らしてきました。

ポヨタンの異変は1週間前、突然に訪れました。

家のどこを探してもいない、どこかに隠れて出てこないのです。
チャッピーだけがその場所を知っているようでした。
一度は出てきましたが、やはり様子が違う・・・肩で息をしているポヨタンを動物病院へ。

検査により気胸とともに胸部に腫瘍を疑う病変が見られました。
気胸に対し抜気するも2時間で再び同じ状態になってしまうのです。
ICUのポヨタンは動かず呼吸の苦しさは続きます。
Iさんはその夜、もし治る見込みがむずかしい状況なのであれば、
苦しいポヨタンを安らかに送りたい、「安楽死」を決意されました。

ちょうど海外から帰省されていた娘さんは、
人見知りのポヨタンが心を許して甘える唯一の人だったのです。
最期のお別れの前に、病院のカウンセリングルームでポヨタンに、
大好きな家族との幸せな時間をプレゼントすることを提案。

抜気処置した後、少し楽になったポヨタンと家族が穏やかに今までと同じように交流する時間。
家でチャッピーと待つご主人の声を携帯電話から聞きながら、
家族の優しい笑顔に包まれる空気の中、奇跡が起こりました。
横たわるポヨタンが突如ゆっくり顔をあげ、お母様に近づき、じっと見つめているのです。
人見知りのポヨタンが自分からお母様にお顔を近づけたのは初めてのこと。
お母様に「チャッピーをお願いします」と懇願しているようでした。

そのころ、家ではママを必死に探しているチャッピーの様子が目に浮かびました。
ポヨタンはチャッピーのことが気がかりでならなかったのでしょう。
お母様に伝えると安心したように体の向きを変え、
お姉さんの手首に顔を乗せると、すやすや眠り始めたのです。

気胸が進行するまでの限られた時間。
短いけれどお互いが心から
「ありがとう」「出会えてうれしかったよ」と感じる幸せなひと時だったでしょう。

そしてポヨタンはそのまま穏やかな空気を全身に感じながら安全な最期を迎えました。
最後にポヨタンのお顔や身体をきれいに拭き、病院のにおいをできるだけ取りたいと思いました。
家で待つチャッピーがポヨタンに会って警戒しないように。
遺骨になる前に、安心していっぱい甘えられるようにと。